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大阪高等裁判所 昭和35年(く)2号 決定 1960年2月02日

少年 K・子(昭一八・一・二八生)

主文

本件抗告を棄却する。

理由

本件抗告の要旨は、少年は何回も鑑別所に入つた経験があるが、昭和三十四年八月二十二日出所いらいは真面目に働いており、少年院に入れられるような悪い事も又売春をした覚えもないのに何の調査もせずしての今回の少年院送致決定は全く納得のできないものである。従つて今一度審判をやり直して貰うべく抗告に及んだと言うのである。

よつて本件一件記録を精査し案ずるに、原決定も説示しているとおり、少年は暴力行為及び窃盗保護事件についての大阪家庭裁判所による昭和三十三年十一月二十日言渡の大阪保護観察所の保護観察処分中にもかかわらず、家出してバーに住込みで働いたり、麻薬密売者Dと同棲して大阪市西成区の安宿を転々し、右Dが検挙された後も帰宅しなかつたので、昭和三十四年七月二十一日虞犯保護事件として審判の結果、大阪家庭裁判所調査官の試験観察に付され、○○女子学園に補導を委託されたが、二、三日で同園を飛出し、原決定摘示のような売春防止法第五条違反の非行に及んだものである。ところが同年八月十四日の審判期日に少年の実兄Aから原決定説示のような申述もあつたので同年八月二十二日鑑別所から出所を許され再び在宅による試験観察中同年十月頃には又家出し、執行猶予となつて拘置所より帰つて来たDと再び同棲し、保護者の正当な監督にも服さなかつたものであることが認められる。これらの経過及び保護者の保護能力を勘案するときは、原決定の措置も已むを得ないところである。なお所論は今回の決定につき何等の調査がないとするが、本少年調査記録中の昭和三十四年十二月三日付、大阪家庭裁判所調査官小野毅の調査報告書及び大阪少年鑑別所の行動観察表に徴すると従来から観察中の調査等により調査が行われていることで所論は当らない。従つて本件抗告は理由がない。

よつて少年法第三十三条第一項、少年審制規則第五十条により主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 山本武 裁判官 三木良雄 裁判官 古川実)

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